第21章 中忍試験
―――そして、何とか本物の301号室の前に三人が辿りつくと、そこにはカカシの姿があった。
「先生!」
「よし、全員揃ったな!中忍試験、これで正式に申し込みができるな」
「え?どういうこと?」
「実のところ、中忍試験はスリーマンセルが基本だ。それ以下だと受験できないことになっている」
「・・・え・・・?」
笑いながら言うカカシに三人は度肝を抜かれたような表情をする。
「え?でも先生、受験するかしないかは個人の自由だって・・・」
「うん。もし、そのことを言ったなら、サスケやナルトは無理にでもお前を誘うだろう。 たとえ志願する意志がなくてもサスケに言われれば、お前はいい加減な気持ちで試験を受けようとする―――と思ってな」
そう言ったカカシにサクラは驚いたような顔をしていたが、自分でもそうかもしれないと思ったのかバツの悪いように黙った。
と、そこでナルトが声をあげる。
「なあ、先生!」
「ん?」
「そういや、昨日紙渡すとき、もう一人いるとかなんとか言ってたよな?」
その言葉にカカシは笑って答えた。
「そうだ。お前らには、もう一人一緒に行ってもらいたいヤツがいる」
「誰だってばよ?」
「それがトイレに行くって言って戻ってこないんだよなあ・・・」
「そろそろ戻ってきてもいいんだけど」とカカシが言う。
すると、サスケが何かに気がついたように「あ」と声をあげた。
「あ、やっと戻ってきた」
「カカシさん、遅くなってすみません。探検してたら戻るの遅くなっちゃって」
「うーん、キミも結構な自由主義みたいだね・・・」
向こうから歩いて来たのは―――。
「えっ・・・く、クロ・・・?」
「ナルトくん、久しぶり!元気だった?」
白いオオカミと一緒に近付いて来ていたのは、一か月前会った少女だった。
いつもと変わらない笑顔だ。
「クロ・・・お前」
「サスケ、久しぶりだね。あんまり会いに行けなくてごめん。ちょっと風邪引いててさ」
「・・・そうか」