第20章 火影に呼ばれて
ちょうどクロが去ったと同時に、タイミングを見計らったように三代目が出てきた。
「フフ・・・なんじゃ、カカシ。言いたいことがあるようじゃな」
ニヤリと口角を上げてカカシ見る。
だが、カカシの言いたいことは分かっているようだ。
「三代目・・・一体何を考えてるんですか?」
「ハハ、そう怖い顔をするな。クロに見せたら、泣いてしまうぞ?」
「・・・あの子は泣かないでしょう」
ため息をつくように言ったカカシに、紅が覗き込むように言う。
「何よ、カカシ。あの子と親しいの?」
「・・・別にそんなんじゃあ・・・ないんだけどね」
「私はあの子は初めて見たんだけど」とひとり言のように呟いた紅にアスマが煙草をふかして返す。
「・・・まあ、ワシからの頼みじゃ、聞いてくれんか」
「はあ」
「大丈夫じゃ。あの子は足手まといにはならん」
「・・・オレは、素性も分からない子とナルトたちを一緒にいさせるつもりはありませんよ」
いつの間にか、紅とアスマはどこかへ行ってしまっていた。
気を使ってくれたのだろう。いや、もしかしたら、ただ二人きりになりたかっただけなのかもしれない・・・まあ、その可能性は極めて低いが。
とにかく、その場にはカカシと三代目だけになった。
「そうじゃな。お前の気持ちは分かっておる。じゃが・・・頼まれてくれんか」
「・・・・・・」
「少しでも一緒にいさせてあげたいんじゃ・・・」
「え・・・?」
「ワシの都合に付き合ってもらって悪いと思っておる。じゃが、クロはワガママも言わんし、泣くこともない。手は掛からん子じゃ」
カカシが黙っていると、三代目はカカシに向き直って、もう一度言った。
「クロを・・・頼んだぞ」
そう言って歩き出した三代目の後姿は、哀愁漂うものだった。