第20章 火影に呼ばれて
「右だけか?」
「まあ、はい。でも、気分が乗ればもう片方開けるつもりです」
ちなみに、小南から教えてもらったのだが―――。
“片方のピアスの性別的な意味はね、男性の場合は「左は、勇気と誇りの象徴」で、女性の場合は「右は、優しさと成人女性の証」だそうよ”
“へえ。だから私、右なの?”
“ちなみに、男が「右は、ゲイの印」で、女が「左はレズの印」らしいぞ”
“おい、サソリ。変なことをハルに吹き込むんじゃない”
“ゲッ、イタチ・・・いたのかよ”
というやり取りもあった。
そんなことを思い浮かべていると、ふと、三代目が足を止めた。
そこは、大きなテントのようなところだった。
「あの、三代目様・・・」
「なんじゃ?まだついておらんぞ」
「へっ?」
テントの布をくぐって、入っていく。
さすがは火影、三代目が歩くとすれ違う人みんなが頭を下げていた。
「ちょ・・・三代目様!ここどこですか?」
すれ違う人は三代目に頭を下げたあと、必ずと言っていいほど私をガン見する。
その視線にいたたまれなくなって、小さな声で三代目に言う。
しかし、三代目は私の質問には答えずに代わりにこう言った。
「ついたぞ」
「え?」
その言葉に辺りを見渡す。
見れば、三代目は用意されていた椅子に座っていた。
「あの、これは・・・」
「まあ、そう緊張するな。すぐ終わる」
そう言った三代目を、正直、信用できるわけがなかった。
思わず乾いた笑みを浮かべて、思ってしまった。
(スイレン・・・私を迎えに来てー・・・)