第19章 それぞれの帰宅
―――時は少し遡り・・・クロと再不斬と白が姿を消した波の国の橋では。
血だらけのサスケをサクラが目に涙を溜めながら、抱きしめる。
「・・・サクラ・・・重いぞ・・・」
その声が聞こえたと同時に、堰を切ったようにサクラが大声をあげた。
「サスケくーーーん!!サスケくん!サスケくん!うわああああん!!」
「サクラ・・・いてーよ・・・」
「あ!・・・ご、ごめん・・・」
サスケが上体を起こした。
サクラが手を貸すが、サスケは千本の影響で体を起こすのもつらそうだった。
「おい、アイツは・・・あの面の・・・」
「え?・・・あのお面の子は・・・」
「・・・死んだのか?」
「う、ううん・・・多分、死んではないと思う・・・ごめんね、私にもよく分からないの・・・」
「・・・どういうことだ・・・?」
サスケは痛みと疑問で顔を顰めた。
状況が理解できないサスケのすぐ横で、サクラの大きな声が響いた。
「ナルトー!!サスケくん、無事だったわよ!!」
ふと前を見れば、こちらを呆然と見ているナルトの姿があった。
サスケはそれに片手をあげてみせると、ナルトは目をぐいと拭う動作をした。
「フン・・・あのウスラトンカチめ・・・泣いてんのかよ・・・」
サスケが小さく乾いた笑みをこぼすと、サクラもそれを見て鼻を啜りながら「そうだね」と言った。
「カカシ先生」
「ん・・・?」
「サスケが・・・生きてるってばよォ・・・!」
手をあげたサスケを見て、ナルトの目には涙が浮かんでいた。
「そう、みたいだな・・・」
「やっぱりアイツ・・・オレたちを殺すつもりじゃなかったんだ」
「ああ。っと、それよりも・・・ナルト、お前、チャクラはあとどのくらい残ってる?」
「え・・・?」
「ちょっと・・・まだ終わってないみたいだ」
カカシがそう言ったと同時に、ガトーの引き連れていた大勢の手下たちが暴れ始めていた。
「悪いけど、オレ・・・チャクラもうほとんど残ってなくてね・・・」
「え・・・?ちょっ、どーすんだってばよ・・・!オレだって、もう―――」
ナルトがカカシに言ったちょうどその時、橋の向かい側から大勢の声が聞こえた。