第19章 それぞれの帰宅
次に目が覚めたときには、イタチはもういなかった。
「ゴホッ・・・あー・・・喉痛ェ・・・」
だるい体を起こしながらベッドから降りる。
壁を伝いながら居間に行くと、そこにはデイダラとサソリがいた。
「イタチ兄さんは・・・?」
「アイツなら鬼鮫と一緒に任務だ。つっても夜までには帰ってくるらしいがな」
「そう・・・」
「なんだ?ひょっとして・・・ククッ、寂しくなったのか?」
サソリが意地の悪い笑みで私を見る。
いつもであれば、私も言い返していた。
でも、この時はそんな元気は余っていなかった。
「うん。そうだね・・・」
「は?」
「じゃあ・・・小南ちゃんは?」
その問いに答えたのは、デイダラでもなく、サソリでもなく―――いつの間にか後ろにいた角都だった。
「アイツならペインと一緒に出掛けたぞ」
「角都さん・・・いつの間に」
「さっきだ。それよりも、お前・・・早く部屋に戻れ。具合が悪いのに動き回るんじゃない」
角都が私を見下ろして言う。
話を聞けば、どうやらイタチに私の介抱を頼まれたらしい。
小南にも同じことを頼まれ、さらには「頼めるのはあなたしかいない」と言われたらしく引き受けたらしい。
「そうですか・・・」
「イタチは―――最後までお前のことを気にしながら出かけて行った。どうも今回の任務はイタチでなければならない任務だそうだ」
「はあ」
「だから、お前を放って任務に行ったというわけではない」
そこまでで、角都の言わんとしていることがなんとなく分かった。
(これはもしかして・・・私が落ち込んでいると思ってる?)
「・・・励ましてくれてるんですか?」
「別に、そういうわけでは・・・」
「・・・ありがとうございます。でも、大丈夫です・・・分かってますから」
そう言うと、角都は「そうか」とただ一言呟いた。
すると、それまで黙って見ていたサソリとデイダラがハッとしたように声をあげた。
「お前・・・具合悪ィのか!?」
「風邪らしい。あと、うるさいぞ」
「ああ、なんだ!だからイタチがあんなに機嫌悪かったんだな、うん!」
納得!と騒ぐデイダラをよそに、角都がため息をついたのが分かった。
二日後、私の熱は無事下がった。