第2章 子供時代と一つの事件。
周りの人垣が割れ、ヒルゼンとイタチが歩いてきた。
そして、ピタリと足を止め、こう言った。
「・・・お前たちは、ここを離れろ」
「三代目!?そういうわけには・・・!」
周りの言うのも最もだ。
何故、人質を取られているというのに、ここを離れなければならないのだ。
三代目は、何を考えている。
そう思うのは、当たり前のことだった。
「・・・これは命令だ。このような者を出してしまったのは火影であるわしの責任でもある。お前たちは、わしが戻って来るまで誰一人としてここに来させるな。」
ヒルゼンは、厳かにそう告げた。
「・・・了解しました」
そう言われては何も言えない。
周りの大人たちは、命令に従った。
周りがいなくなったことを確認すると、ヒルゼンは話し出した。
もちろん、男の死角には暗部の人間がいる。
男を拘束するのは簡単だ。
だが、つかまっている子にトラウマを残してしまうかもしれない。
その子を傷つけてしまうかもしれない。
そう思ったヒルゼンによって、合図がでるまで暗部は待機しておくということになった。
「・・・・・・・して、お前。何が目的でそのようなことをしておる。その子を離せ。その子の人生を台無しにする気か」
「っ・・・うちはの長は・・・」
「呼んでおる。到着には少し時間がかかるらしいがの」
これははったりだ。
わざわざ、うちはの長、うちはフガクをここに呼ぶわけがない。
そんなことしなくても、ヒルゼンには余裕があった。
あとはタイミングのみ。
見た限り、イタチの妹には外傷が見られないので無事なんだろう。
そこにホッとした。
だが、気を抜いてはいけない。
向こうは本気だし、それは血走った目がそう告げている。
イタチも今は動揺していて、すぐに反応できるかわからない。
そこに、聞こえるはずのない、もう一つの声が、男の背後から聞こえた。
「ハルっ・・・?」
そこにはイタチの愛してやまない、もう一人の最愛の弟の姿があった。