第2章 子供時代と一つの事件。
ふと、顔をあげるとそこにはイタチがいた。
「・・・・・」
(イタチ兄さん)
イタチやサスケ、父と母はもう、本当の家族だと思っていた。
血縁上はれっきとした家族だけど、もともと私はここの人間じゃない。
―――――私は生まれちゃいけかったのかもしれない。
心のどこかで、そう思っていた。
この世界で私だけが知っている、この世界で起こるであろう色んな事。
だから、イタチや母が私をやさしく撫でてくれるのがむずがゆくて、どういう対応をしたらいいのか分からなかった。
父やサスケが手を握ってくれるのがうれしかった。
前は、こんな風に私が殺されるかもしれないとき、本気で心のどこから心配しているような声で私の名前を呼ぶ人なんていなかった。
前の世界の母は泣き崩れていた。
父も唇を噛みしめていた。
でも、私はそれを冷めた目で見ていた。
――――それが演技だと分かっていたから。
(・・・不思議)
何だろう。
こんなにも温かい。