第19章 それぞれの帰宅
「す、すごい・・・」
白が思わずといったように感嘆の声を洩らす。
再不斬と鬼鮫が戦い始めてから数分後。
両者とも一歩も譲らない戦いぶりだったが、それでも再不斬にはカカシと戦っていたダメージが残っているのか、やや鬼鮫に押され気味だった。
再不斬が術を仕掛けても、すべて鮫肌に吸収されてしまう。
「再不斬、少し腕が落ちたんじゃありません?」
「・・・ッハ、誰が!!テメェは自分の心配だけしてろ!!」
「ここらでいいでしょう、再不斬。久しぶりで楽しかったですよ。鮫肌は少し物足りないようですが」
そう言うと鬼鮫は躊躇することなく、再不斬に向けて鮫肌を振るう。
「っは―――がはっ」
「再不斬さん!!」
鮫肌を直に当てられた再不斬は、後方に吹っ飛び、木に勢いよく体を打ち付けた。
「・・・さて、と・・・」
「白・・・!クソッ・・・!」
ぐったりとしている再不斬を横目に、鬼鮫は白の目の前へと移動した。
「彼女を渡してもらえますか?」
ニィと不気味に笑う鬼鮫に白は千本で対応しようとするが、もう遅い。
白の目の前には鮫肌の口が向けられており、白は身動きが取れない状況になっていた。
「っ・・・」
白が歯を食いしばったその時、ハルの小さな声が聞こえた。
「ん・・・あれ、私・・・」
その瞬間、鬼鮫はピタリと動きを止め、ハルの方を見る。
ゆっくりと体を起こしたハルは何回かしんどそうに荒い呼吸をくりかえした後、白と鬼鮫の方を見た。
「・・・・・・え?」
パチパチとまばたきを繰り返すハルに声を掛けたのは、鬼鮫だった。
「おはようございます、ハルさん。探しましたよ」
「え・・・?なんで、ここに・・・?」
鬼鮫さん、と掠れる声で言ったハルに、鬼鮫は口角を上げて答えた。
「みんな心配していますよ?あなたが一週間以上も戻らないから」
「・・・イタチ兄さんに言われて?」
「いえ、イタチさんは今単独任務中です。だからこれは私一人です。・・・イタチさんは今機嫌が悪くてね。そういう意味でもあなたには早く戻ってきてほしいんですよ」
「はあ・・・でも、あの、とりあえず、ソレ下ろしてもらえますか?」
ハルが鮫肌を指さす。
鬼鮫は「すみませんね」と建前だけの謝罪を口にした。