第19章 それぞれの帰宅
「何故そう言えるんですか?」
「白・・・お前、“うちは一族”って知ってるか?」
「いえ・・・もしかして、あの彼の?」
「ああ」
再不斬はそこで言葉を切ると、チラリとスイレンの方を見て、再び白の方に視線を戻した。
「うちは一族は悲劇の一族って言われている・・・何故だか分かるか?」
「いえ・・・」
「うちは一族は一晩で全滅させられたからだ」
「!」
その言葉に白は目を見開き、驚きをあらわにした。
「里のエリート一族だったのにな・・・。今生き残っているうちはの人間はあのガキと全滅させた“うちはイタチ”のみ・・・だと言われているが・・・」
「そういえば・・・彼も“兄貴を殺すまで”とか言っていたような・・・」
「考えられる可能性はただ一つ・・・―――そのガキは、うちは一族の生き残りだってことだな。あのガキと同じ。違うか?」
再不斬に問いかけられてもスイレンは何も反応しなかった。
ただ退屈そうに、ハルの顔を眺めている。
そんなスイレンを見て再不斬はイラついたように舌打ちをした。
「おい」
『んー・・・僕に言われてもね?』
「お前しかいないだろうが」
『なあ』
「おい、聞いているのか」
『ちょっと、あの』
『僕?だから、知らないって』
「チッ・・・」
『ちょっと!!』
ネネが急に焦ったように大きな声を出した。
「何だ、さっきから」
『誰か来る。こっちに近付いとる』
『・・・何でそれ早く言わないの』
『聞かんかったのは主様たちやろ?ウチに当たらんといて!』
プリプリと怒ったように言うネネにスイレンがバツが悪そうに黙る。
一方で、再不斬が立ち上がった。
「オレが相手をする。今のオレなら戦える」
「再不斬さん、ボクも、」
「ダメだ。白、お前はそのガキを見ておけ」
「・・・でも・・・」
「大丈夫だ。オレを誰だと思っている」
そう言った再不斬は大刀を手に前に出る。
するとネネが言った通り、再不斬にも何かが近付いて来る気配を感じた。
「・・・・・・」
その場が一気に緊張感に包まれる。
再不斬が首切り包丁を握る手に力を込めた直後、再不斬の耳にかつて聞いたことのある声が聞こえてきた。
「おや、久しいですねえ、再不斬」
「・・・お前は・・・」