第19章 それぞれの帰宅

「それで・・・お前らは一体何の目的があってオレたちを助けたんだ？」


ハルが寝始めてから少し経った頃、再不斬がスイレンに向けて聞いた。

熱のあるハルを介抱しているのは白だ。

再不斬と白はお互いの身に起こったことを報告した。


『別に・・・ハルが言ったから僕は協力してるだけ』

『ウチもな！』

「・・・その、“ハル”って誰のことですか？」


素っ気なく答えたスイレンに白の質問が飛ぶ。

それを聞いたスイレンとネネは『あ』と声をあげ、一瞬にしてピシリと固まった。


「あの・・・？」

『・・・口が裂けても言うなって言われてたのに・・・ど、どうしよ！？』

『ま、まあ、ハルなら許してくれるでしょ・・・多分』


急に何かを焦り始めた二人に再不斬が言った。


「そんなにこのガキが怖いのか」

『ガキって言うな。ていうか、お前もハルに手ェ治してもらったんだから、感謝したらどうなの』

「・・・・・・」

「・・・それで、この子はクロさんでいいんですよね？」

『うん』

「クロさんが、その・・・“ハル”さん？なんですか？」

『うん、そうや。でも、ハルにはその名前を人前で言うなって言われてたんやけど・・・もうしょうがないか』


ネネがため息をつきながら言う。

そんなネネをよそに、白はさらに聞いた。


「それで、一番気になっていたことなんですが」

『ああ、もう・・・質問多いな』

「すみません、でもこれで最後です。あの・・・ボクを眠らせたとき、クロさんの目が・・・あの、その・・・」

『なに？』

「あの・・・サスケくんという、黒髪の子・・・再不斬さんの水分身を消した子です」

「・・・そのガキがどうした？」

「その子と・・・目が同じだったんです」


白はあくまで言いづらそうに、ハルの方を見ながらゆっくりと言った。

その言葉を聞いた再不斬は眉を寄せ、考え込む様子を見せた。


「だから、クロさんも血継限界の血族なのかと・・・あの彼と同じ」


しばらく沈黙がその場を包む。

スイレンはこの質問にどう答えたらいいか考えていた。

ハルならどうするだろう。どう答えるだろうか。

すると、白のその質問に答えたのはスイレンでもなく、ネネでもなく―――再不斬だった。


「・・・いや、それはありえない」

「え？」