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うちはに転生しました。

第18章 イナリの叫び











「ちょっ・・・いたっ・・・」

「あ?何だこのガキ・・・生きてるのか?―――・・・まあいい。アイツの身代わりになってもらうか」


私を立たせたのはどうやらガトーの手下だったようで、その際に胸の傷が痛んだ。

少し顔を顰めると、ガトーがそのまま私の顔を覗き込んできた。


「・・・・・・」

「かわいそうにねえ。こんなことに巻き込まれて」


(・・・・・・は?)


思わず言いかけた。

というか、顔に出ていたと思う。

すると、ガトーはいきなり私の頬を殴った。

それと同時に頭から何かが外れた。



「っ・・・てぇ・・・」

「ガトー!!テメェ・・・!!」


ガトーを睨み付ける。


(なんだこの展開・・・こんなつもりじゃなかったんだけど・・・)


「んー?この髪飾りはお嬢ちゃんのかなぁ?」


不意にガトーの声が聞こえて視線をそちらに向ける。


「あっ・・・」


落ちたのは、私の髪飾りだった。

イタチが誕生日にくれたもの。大切なもの。

ガトーの足元に落ちている髪飾りを取ろうと動こうとするが、ガトーの手下に腕を掴まれて動けない。

必死になっている私を見て、ガトーはニヤリと笑った。


「そうか。これは大切なんだねぇ?じゃあ―――」


パリン、と音を立てて―――私の宝物は、ガトーの足に壊された。


「あ・・・・・・」


(う、そ・・・)


「おっと・・・足が滑ってしまったよ。いやあ、すまなかったねえ」


頭の中が真っ白になる。


「ん?お嬢ちゃん・・・下ばっかり向いて、泣いているのかな?」


私の宝物。

一生大事にしようって、決めてたのに。


「・・・ざけんな・・・」

「あ?」

「―――ふざけんな!!」


(絶対殺す。アイツは殺す!!)


瞬時に私の腕を掴んでいる男を蹴り飛ばす。


「がはっ」


男はそんな声をあげてそのまま仲間のところに転がって行った。


「ガトー・・・!!」


私がガトーを睨みつけると、ガトーは情けない声をあげて手下に命令した。


「おい!!コイツを殺せ!!たかがガキだ、早く!!」


その言葉に手下たちは顔を見合わせて、私に襲い掛かってきた。












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