第18章 イナリの叫び
「今のお前ではオレには勝てないよ お前は気付いていない・・・」
そして、ようやく私の胸の痛みもだいぶ治まってきた頃、カカシがクナイで再不斬を止めを刺しに動いたようだった。
「・・・外したか」
カカシは止めは刺せなかったものの、再不斬の腕を負傷させたようだった。
―――と、そこで大勢の気配を感じた。
(ついに来たか・・・)
「・・・ガトー、どうしてお前がここにいる?」
再不斬の鋭い声が聞こえる。
それに対して金の亡者たるガトーの返答が聞こえた。
「お前を始末しに来たに決まってるだろ?」
「・・・!」
「お前に金を払うつもりは毛頭ないからね」
つらつらとバカにしたように言うガトーは、聞いていただけでもムカついた。
「ま、一つだけ作戦ミスがあったといえば・・・お前だ、再不斬。霧隠れの鬼人が聞いてあきれるわ」
「なんだその様は?私から言わせりゃなんだ・・・クク、ただのかわいい小鬼ちゃんってとこだな?」
ガトーの言葉に私も眉間にしわが寄りそうだった。
しばらく黙っていた再不斬だったが、カカシに向き直って言った。
「カカシ、すまなかったな。戦いはここまでのようだ。タズナを狙う理由がなくなった以上、お互いに戦う理由がなくなった」
「・・・ああ」
―――再不斬のその言葉を聞いていた私だが、この後、最大の窮地に立つこととなる。
「そういえば・・・」
ガトーが白に変化している私に近付いてくる。
「こいつには借りがあったな。私の腕を折れるまで握ってくれたね―――」
と、そこでいきなりボフン、と音を立てて、私の体を煙が包む。
「え?」
「・・・はあ?」
「ってえ・・・」
自分でも訳も分からず、とりあえずムクリと体を起こす。
ゆらゆらと揺れる視界に映ったのは再不斬とカカシの姿。
両方、目を見開いたまま固まっている。
「・・・え?」
ふと自分の姿を確認してみる。
髪は黒く長い。
その時点で嫌な予感がした。
「ちゃ・・・チャクラ切れ、か・・・にしても・・・」
(白の変化が解けたのはまあ百歩譲っていいとしよう。・・・だけど・・・)
クロの姿まで解けちゃダメでしょ!!
そう思っていると、後ろから腕を掴まれ、強引に立たされた。