第18章 イナリの叫び
「そして・・・その時、ボクは自分のことをこう思った・・・いや・・・そう思わざるを得なかった。そして、それが一番辛いことだと知った・・・」
「え・・・?」
「自分がこの世にまるで・・・必要とされない存在だということです」
ナルトは驚いたように目を見開いた。
(自分と同じだって・・・思ったのかな・・・)
「・・・もし、君を心から認めてくれる人が現われた時、その人は君にとって最も大切な人になるはずです」
ナルトにとって、イルカがそうだったように――――白にとっては再不斬がそうだった。
「再不斬さんは僕が血継限界の血族だと知って拾ってくれた。誰もが嫌ったこの血を・・・好んで必要としてくれた・・・」
私もうちはの血を継いでいるけれど、うちはは木ノ葉の中では、そんなひどい扱いはされていなかったと思う。
白はとてもつらい経験をしてきたんだろう。
「―――嬉しかった・・・!」
ポロポロと零れ落ちる涙は、再不斬への想いが詰まっているような気がした。
「ナルトくん・・・ボクを・・・殺してください」
「!?」
「ボクは再不斬さんの求めた武器にはなれなかった・・・ごめんなさい・・・再不斬さん・・・」
「・・・納得いかねえ・・・」
「え?」
「納得いかねェ!! 強いやつでいるってことだけが・・・お前がこの世にいていいっていう理由なのかよ!!戦うこと以外で、他の何かで、自分を認めさせる方法があったはずだろ・・・!」
ナルトは大きな声で叫ぶ。
それに対して白は静かに、少しだけ笑って言った。
「・・・森の中で君と会ったとき・・・ボクと似ていると思いました。―――だから君にも分かるはず・・・」
「それしか・・・それしか方法はねーのか・・・!?」
「・・・はい」
――そろそろだ。
私は白に化けて準備をする。
「君は・・・夢をつかみ取って下さい」
「・・・お前とは・・・他の所で会ってたら友達になれたかもな」
ナルトがクナイを握って、白に突っ込んでいく。
「ありがとう」
白がそう言ったと同時に、私は走り出した。