第18章 イナリの叫び
しばらくすると、白は完全にナルトに動きを封じられたようだった。
―――ナルトが白に殴りかかる。
形勢逆転なのは一目瞭然だ。
(ただ・・・悪い意味で、だけど・・・)
―――白の面が割れる。
露わになった白の目には何も映していなかった。
と、そこでナルトが白への攻撃を止めた。
「・・・お前、あん時の・・・!」
ナルトの驚いた声が聞こえる。
そのタイミングで私は影分身をもう一人だして待機させ,
一方で、私はいつでも再不斬の前に飛び出せるように準備していた。
「なぜ、止めたんですか・・・?」
「お前・・・!何で・・・!?」
少しの間、沈黙が辺りを包む。
そして、沈黙を破ったのは白だった。
「・・・君は大切な仲間をボクに殺されておいて・・・ボクを殺せないんですか」
白の声はその場に響く。
ナルトは目を見開き固まったままだったが、その言葉を聞くと白を思い切り殴った。
「・・・それでは、ボクを殺すことはできませんよ」
「・・・お前・・・!」
「・・・命だけは見逃そうと、敵に情けをかけるのは勘違いです」
白は悲しげに微笑む。
「・・・夢もなく・・・誰からも必要とされずに、ただ生きることの苦しみを・・・君は知っていますか・・・?」
「再不斬さんにとって弱い忍は必要ない・・・君はボクの存在理由を奪ってしまった」
白の口から紡がれる言葉の一つ一つが重く感じた。
「・・・お前の大切な人って・・・もしかして・・・!何であんなヤツのために・・・悪人から金もらって悪いことしてるヤツじゃねーか!!アイツ以外に大切なヤツはいねーのかよ!?」
「・・・ずっと僕にも大切な人がいました・・・僕の両親です」
白は遠くを見るようにナルトから視線を外し、少し上を見上げる。
「ボクは、霧の国の雪深い小さな村に生まれました」
「・・・・・・何があったんだってばよ?」
「父が母を殺し、そしてボクを殺そうとしたんです」
「・・・え?」
白は、自分が血継限界の血を引いていること、そしてサスケも血継限界の血を引いていることをナルトに告げた。