第17章 波の国の悲しさ。
夜。
ツナミが作ってくれた夕食を食べ終え、テーブルでみんなで話をしていた。
ご丁寧に、スイレンとネネの分まで分けてくれて、何だかとても申し訳なかった。
「あ!そういえば、クロってばお前ウソついたな!?」
「えっ?」
「カカシ先生、オレのこと呼んでなかったってばよ!」
「・・・あは」
すっかり忘れていた。
両手を合わせて謝ると、ナルトは「仕方ないから許してやる!」と頬杖をついていたが、次の瞬間思い出したようにパッと顔の表情を明るくさせ大きな声で言った。
「聞いてくれってばよ!オレってば木登り一番上まで登れるようになったんだ!だから、明日から修行じゃなくて護衛任務なんだってばよ」
「そうなの?おめでとう!すごいじゃん!」
「・・・オレもだけどな」
「サスケもかあ!二人ともすごいね!何か、忍者っぽいよ!」
「そりゃあ忍者だからな」
私の言葉にサスケがツッコんだところで、笑いが起き、だが次の瞬間、イナリが机を強く叩きつけたことでその場は一気に静まる。
顔を上げたイナリの目には涙が浮かんでいた。
(やべえ・・・私、なんか変なこと言っちゃったかな・・・!?)
何かまずいことを言ってしまったのかとさっきまでの言動をすべて振り返ってみるが、思い当たる節はない。
「なんで・・・なんでだよ!」
「何でそんなになるまで必死に頑張るんだよ!!修行なんかしたってガトーの手下には敵いっこないんだよ!!」
「いくらカッコイイ事言って努力したって!本当に強い奴の前じゃ弱い奴はやられちゃうんだ!!」
涙を流しながら叫ぶように言うイナリの言葉からは、悲しみと痛みが感じられた。
「うるせーな・・・お前とは違うんだってばよ」
「お前見てるとムカツクんだ!この国のこと何も知らない癖にでしゃばりやがって!」
「お前にボクの何が分かるんだ!辛い事なんか何も知らないで・・・何時も楽しそうにヘラヘラやってるお前とは違うんだよ!」
「うるせえ!」
ついにナルトも我慢できなくなったのかその言葉に怒鳴り返したあと、外に出て行ってしまった。
「ちょっと、ナルト・・・!」
サクラの呟きを最後に、残された私たちはしーんと再び静まり返ってしまった。