第17章 波の国の悲しさ。
「じゃあ、改めて・・・まず、さっきの子・・・ナルトくんと黒髪の・・・サスケっていう子なんですけど、その二人と白さんが戦うことになります」
「・・・はあ」
「白さんは、二人としばらく戦っていてもらって・・・問題はここからですね」
話した内容はこうだ。
サスケ&ナルトVS白
↓
戦う
↓
私が途中で入ってくる
↓
白は逃げる
↓
あとで再不斬と合流させる
ということまで。
本当は白に成り代わって、再不斬を庇って死ぬ白を演じようと思っている。
もちろんカカシに怪しまれないように影分身にタズナとサクラの傍にいてもらうつもりだが、カカシの攻撃を受けた私は死ぬほどの致命傷を負っているはずだ。
問題なのが、その中で影分身が消えてしまわないか、というわけだ。
しかも、私は死んだように見せなければいけないので、傷の修復を遅らせなければならない。
スイレンが言ってた“傷の修復をコントロールできる”というのはどんな方法なのかは分からないけど、ぶっちゃけ本番でやってみるしかない。
思いつきでしかないこの作戦だけど、成功したら、白も再不斬も死なずに済む。
「・・・そんなに再不斬から離れることが心配なら、私に化けて見てたらどうですか?」
「えっ・・・?」
「どのみちガトーは誰かが殺すでしょう。心配しなくても大丈夫だと思いますけど、私の影分身のフリをしたらよくないですか?」
内容的にはとてもグロテスクなことを言っているが、白は特に気にした様子はなかった。
そのことに何を言うわけでもなく、白を見つめる。
少し悩んだ末に出た答えは「はい」だった。
「じゃあ、そういうことで。あとは臨機応変にお願いします」
私の話はこれで終わりなので、タズナの家に帰ろうと歩き出すと、後ろから白の声がかかった。
「クロさん」
「!」
「名前。クロさんっていうんですね。ボクと反対だ」
一瞬、意味が分からなかったけど、すぐに名前のことだと気がついた。
「クロさん、どうぞよろしくお願いします。いざというときは、ボクではなく、再不斬さんを・・・」
「二人とも生きるんですよ。私は、二人に幸せになってほしいんです」
―――お礼は、終わったあとに握手でもしてください。
私がそう笑って返すと、白は困ったように笑った。