第17章 波の国の悲しさ。
波の国に来てから六日目の朝。
スイレンとの組み手のせい筋肉痛も治りかけてきていたころ、私は今日という何の日をすっかり忘れていたのだ。
今日が、お面をつけてない白とナルトが出会う日だということを。
「うえ・・・!やっちゃった!」
マジ筋肉痛なのに。
さっきまですっかり忘れていた。
息を切らしながらナルトがいるはずの森を目指して走る。
(もう、何でこんな時に・・・!最悪!)
二つの気配を感じて一気に森に駆け込む。
「ナルトくん!」
「・・・クロ?」
ゼエゼエと肩で息をする私を見てナルトが不思議そうな声をあげる。
それにヘラリと笑い返すと、さりげなく白がいることを確認する。
「どうしたんだってばよ?」
「え?あー・・・えっとね、カカシさんが呼んでたよ」
適当な言い訳がこれしか思い浮かばず、誤魔化し気味に言うとナルトは「分かった!」と言って白に向かって手を振って消えた。
「あの・・・大丈夫ですか?」
私に声が掛かったのは、息が整ったころだった。
白はお面をしていない。
知っていたけど、やっぱり美人だ。
「はいー・・・ありがとうございますー。良かった、まだ逃げないでくれて」
「え?」
「白さん、今日は明日のことで話しに来ました」
自分の名前が呼ばれてたことに驚いたのか、白は少し目を見開いて一歩後ずさりした。
それに合わせて私も一歩踏み出そうとする。
「えっ、ちょっと―――イタッ」
「・・・?」
「あはは・・・ちょっと、筋肉痛で」
なんで、座って話しませんか?
そう言うと白は戸惑った表情を浮かべながらも、私の近くに来て座った。
まさか本当に来てくれるとは思っていなかったので、笑ってしまいそうになったが、それは心の中だけにした。