第17章 波の国の悲しさ。
―――三時間後。
スイレンとの組み手修行はまだ続いていた。
「ハァッ・・・ハァッ・・・」
もうそろそろ色々と限界に近い。
写輪眼使わなくたって、チャクラ切れ寸前になる。
『見ーつけた!』
「ッ―――くっ!」
間一髪のところでスイレンの攻撃から逃れる。
(あ、ぶなっ・・・!)
だが、逃れたのはいいものの木に着地しようとしたときに問題は起こった。
「っ・・・?」
(チャクラ切れ・・・?)
ズルッと踏み外してしまった私は声をあげる暇もなく地面に真っ逆さま――――のはずだった。
「・・・・?」
いつまで経っても想像していた衝撃はなく、反射的に閉じていた目を恐る恐る開けると、目の前にスイレンの顔がドアップであった。
『大丈夫?ごめん、ちょっと無理させちゃったね』
「・・・」
『そろそろチャクラ切れかなっていうのは分かってたんだけど、ちょっと気分上がっちゃって・・・』
「・・・」
『ごめんね?』
眉を下げて申し訳なさそうに言うスイレンだが、一つその前に言いたいことがある。
「・・・スイレン」
『ん?』
「助けてくれたのは本当にありがたいんだけどさ」
『うん』
「・・・近ぇ。あとありがとう、もう立てる」
そう言うとスイレンは『残念』と言って笑って私を立たせてくれた。
「・・・戻りました」
「あ、キミどこ行って―――・・・何してたの?」
タズナの家に戻ると、ちょうどカカシとばったり会った。
カカシの驚いたような表情がおもしろい。
多分、私のボロボロな姿を見ての感想だろう。
「はい、まあちょっと・・・」
スイレンとの組み手修行のあとは必ずと言っていいほど筋肉痛になる。
ついでに疲労感もついてくる。
フラフラとした足取りで布団の敷いてある部屋を見つけ出し、そのまま倒れこむ。
体力を回復するなら寝ることが一番だと、いつか前の世界のテレビで聞いたことがあるので、組み手が終わったあとはいつも寝るようにしている。
(そういえば、スイレンがあとからついて来てたはずだったんだけどな・・・)
重い瞼を持ち上げてみようとするがそれは出来ず、疲労感と睡眠ってどう関係あんのかな、などと薄れゆく意識の中でぼんやりと思った。