第17章 波の国の悲しさ。
波の国に来てから四日目の朝。
私はサスケとナルトが木登り修行をしている森から少し離れた場所にいた。
ネネは起こしたけど起きてこなかったので、ほっといた。
『ねえ、ハル。何するつもり?』
「んとね・・・私も木登り修行したいなと思って」
『・・・木登り修行?』
そう!と私が得意げに答えると、スイレンは『何で?』と不思議そうに言った。
「え、何でってそりゃあ・・・ねえ。あの二人が頑張ってるのに私だけ暇人みたいに何もしないっていうのはさ、」
『何で?』
「・・・ねえ、スイレンは今の私の話聞いてた?」
ひたすら『何で?』をくり返すスイレンに少しイラッとし、ムッとした表情で言葉を返す。
すると、スイレンはもう一度『何で?』と言ったあと、衝撃的な言葉を口にした。
『だって、出来るのにする意味ないでしょ』
その言葉は私の口をあんぐりさせるのに十分すぎる効果があった。
「・・・は?」
『だって、僕が前にキミに教えたことあるもん。まああれは木登りじゃないけど・・・』
「え、意味分かんないんだけど」
『ほら、二年前、一緒に旅に出たでしょ?そのとき、これでもかってほど水の上歩いたじゃん』
「ああ、あれね・・・ホントにあれは溺れそうだった」
最初、スイレンに『じゃあ行くよー』といきなり手を引かれ水面を歩き出したスイレンに対し、ザブザブと音を立て水に足が浸かる私。
それに気付かないスイレンはお構いなしに進んでいくので、私は本気で溺れそうになったことが何十回とあったのだ。
溺れるのは困る。
何せ、私は筋金入りのカナヅチなのだ。
このままじゃいつか溺死しかねないと思った私は、必死こいて二日かけてやっと習得することができたのだった。
『まあ、溺れないためにもあれは習得して損はなかったでしょ』
「まあ、そうだけど。ってことは、木登りと水面歩行は同じ原理?」
『水面歩行って・・・まあいいや。そう、そんなとこ。まだ納得できないのなら、実際にやってみるといいよ』
含み笑いで言うスイレンを背後に、やっぱり疑わしくてカカシが言ってたように木から少し離れて助走する距離を確保する。
「よしっ」
最後に気合を入れて、私は勢いよく走りだした。