第17章 波の国の悲しさ。
帰り道。
「―――うまく・・・いったかな・・・」
『まあ結果オーライじゃないの?』
『なあ!ずっと気になっとったんやけど、あの白っていうのは女?』
「男」
『・・・ウソやろ』
『ウチ絶対女だと思っとった!』と大きな声を出して騒ぐネネを横目に、すっかり暗くなってしまった夜の道を急ぐ。
カカシに何か言われちゃうな。
(まあ、仕方ないかな)
一人苦笑いをし、さっきまでの白とのやりとりを思い出す。
“じゃあ、答えを聞かせてください”
“―――ボクは・・・・・・あなたの話に乗りましょう”
白は大きく息を吐き、ゆっくりと言った。
“ありがとうございます”
“ですが、こちらからも条件があります”
“・・・何ですか?”
“あなたを・・・信用していいという証明をしてほしい”
証明、と言われても何をすればいいか分からない。
首をかしげていると、ネコ姿のスイレンが『ハル、僕に任せて』と言う声が聞こえた。
頷いて見せると次の瞬間、あっという間にスイレンは人型になり、どこから出したのかも分からないクナイを白の首元に当てていた。
(ちょっ、スイレン・・・!?)
“ッ・・・!”
“これで、証明になったかな。やろうと思えば、お前を殺してあのデカイ男も殺せるんだよ”
“ボクを・・・脅すつもりですか?”
“違うね。可能性の問題を言ってるんだ”
“・・・スイレン”
“分かってる、殺しはしないから”
そう言ったスイレンは何事も無かったようにクナイをしまうと、ネコ姿にもどった。
「いやあ・・・あれはビックリしたよ、本当」
『ああ、あれね。ああでもしなきゃ。変な動きされたら困るんでしょ?』
「うーん、そうなんだけども。でも、スイレンありがとう」
『え?』
「私、証明しろって言われても何したらいいか分かんなかったもん」
正直あの時はめっちゃ焦った。
本当、スイレンがいてくれて良かったと思う。
「あ、もちろんネネにも感謝してるよ。白を外に連れてきてくれてありがとう」
そう言うと、スイレンとネネが同時に『どういたしまして!』と返してくれた。