第17章 波の国の悲しさ。
「話、続けますね。簡単に言うと、私は白さんの味方だけどガトーの味方ではないです」
「・・・キミ、どこかの組織の人間ですか?」
「まさか。それで、まあ、実際言うと・・・」
「・・・?」
「ガトーは、あなたと再不斬を殺すつもりですよ」
そう言うと、白は何も反応しなかった。
「・・・そうだとして、キミに何の関係が?」
「いえ、特にはないですね。だけど、私、白さんには生きててほしいんです」
白は私の目をじっと見たままだ。
「だから、お願いがあるんです」
「?」
「近々、私たちはまた会います。その時は、あなたと再不斬を助けたいので言うことを聞いてくれますか?」
「・・・そんなこと、」
「正直。正直なところ、ガトーを殺すという手もあるんですけど、」
(あともう一押し・・・)
「私には白さんに話を聞いてもらう方が早いかと思って」
「・・・」
「どうですか、私に協力してもらえませんか」
そこまでで、いったん話を切る。
白が何を考えているのかは分からない。
けれども、これはたとえ白が縦に首を振らなかったとしても、強引にでもするつもりだ。
それがスイレンとネネの力を借りたとしてもだ。
「・・・ボクには・・・」
「正直なところ、時間がありません。“車輪眼のカカシ”と再不斬が戦うことになるまでに答えがほしいんです。つまり、今。」
「・・・そんな急に言われたって、」
「今、決めてください。お願いします」
白は目を閉じて考えている。
私はそんな白を見つめる。
十秒か、二十秒か。はたまた、一分だったか。
白が目を開くまでの時間は、少し長く感じた。
「・・・決まりましたか?」
「・・・はい」
「じゃあ、答えを聞かせてください」
「・・・ボクは―――」