第17章 波の国の悲しさ。
―――次の日。
昨日は、タズナの家に泊めてもらい、スイレンとネネも家に上がらせてもらった。
本当ありがたい。
サスケとナルトは今日も木登り修行だ。
サクラはカカシに言われてタズナの護衛についているようで、タズナと一緒に外に出て行った。
カカシは一日中、家にいるようで、どうやらこの前の戦いで消耗した体力と車輪眼の回復に努めるようだ。
私はどうしているかと言うと―――
「あれ?ここらへんで合ってるよねー?」
『分かんないよー。でも、この前のデカ男の匂いはここら辺だと思うんだけど』
『ウチ来た意味あるの?』
私は、スイレンとネネを連れて町の中心部に来ていた。
スイレンが、かすかに残っている再不斬の匂いを辿れるようで、そのスイレンのおかげでここまで来た。
だが、私が用があるのは再不斬でなく、白の方だ。
(話、少しだけでも聞いてくれるといいけど・・・)
「しかしスイレン。私は“ガトー”のいるところに来てほしいとは言ってないんだけどなあ・・・」
『し、知らないよ・・・僕だって、あんなチビのところに来るとは思ってなかったよ』
今、私たちがいるのは“ガトーコーポレーション”とかいう大きい建物の近くだ。
先程、ガトーらしき人物がこの建物から出て行ったのでそれは間違いないと思う。
(あれだ。ガトーって確か、イナリのお父さんを殺したヤツよね)
最低かつ最悪な性格であることは間違いない。
出来れば一生話したくないような人間だ。
「ねえ、いきなり中に入る?」
『いやー・・・バレるでしょ。それはさすがに』
「だよね。っていうか、私が話したいのは白の方よ。再不斬に会ったら命の危険に晒される気がする」
(やっぱり、交渉は受け入れてもらえないかな)
今日は交渉をしに来たのだ。
いざとなったら、武力で・・・というつもりだが、実際のところ私が勝てるとは最初から思っていない。
そもそも、白がどれだけ強いかなんてマンガを見ただけじゃ分からないし、私も自分がどれだけ強いかはいまいち分かっていない。
白は再不斬のためなら、なんでもするだろう。
もしかしたら、下手したら私も殺されるかもしれない。
・・・まあ、そうなれば精一杯、頑張って抵抗しよう。
(まだ・・・死にたくはないなあ・・・)