第17章 波の国の悲しさ。
「ねえ、二人とも戻ろうよー」
私がサスケとナルトに話しかけるが、二人はなかなか耳を貸してくれず、「じゃあ、あと一回だけよ」と言えば、ようやくそれぞれが返事をしてくれた。
―――遡ること、一時間前。
しばらくカカシと話していた私だが、不意にカカシが「じゃあ、オレは戻っとくね」と笑って言い始めた。
「・・・え?」
と返すと、カカシはそのまま私の斜め後ろを指さし、
「じゃあ、あと一時間後ぐらいになったら二人をつれて戻ってきてよ」
「向こうにいると思うから」と言い残し、スタスタと歩いていってしまった。
固まってしまい、残された私は何も言えず、カカシの姿が見えなくなった頃に「はあ・・・」と頷いた。
――というけだ。
それなのに、二人の負けず嫌いな性格が災いしてか、なかなか止めてくれない。
もう十五分過ぎちゃってるんだけど。
怒られないといいなあ、とボーッとしていると、私に声が掛かった。
「――ん?何か言った?」
「だーかーらー・・・終わったってばよ」
「あ、本当?おつかれさま。何か顔が疲れてるよ」
「うっせ。ああ、それより待たせて悪かったな、クロ。どうせ、カカシに言われたんだろ」
何で分かったの。
そう思って腰に手をあてるサスケを見る。
そして、それを見て名案を思いついた私。
「スイレン、」
『んー何ー?』
「ちょっと、二人を乗せていってくれない?」
スイレンは暇だったらしく、名前を呼びそのことを伝えると、心なしか不満げな顔をした。
『何かなー?まあ、いいや』
「いいの?ありがとう」
スイレンは私以外の人間を乗せるのを嫌がる。
それはイタチでも小南でもサソリでもそうらしい。
確かに、スイレンがそう思ってくれて嬉しいが、何となく複雑な気分だ。
二人を乗るように促している最中、
『ハ・・・違うわ、クロー。あともうちょっとで三十分過ぎちゃう』
というネネの声が聞こえたので、二人を適当にスイレンの背に乗せて、急ぎ足で歩き出す。
「スイレン、いつも私のお願い聞いてくれてありがとう」
『ううん。別に大丈夫』
スイレンと話していると、ナルトの「誰と喋ってんの?」の声が聞こえたので、「秘密!」と答えておいた。