第17章 波の国の悲しさ。
「それじゃあ、サスケ、そろそろ戻りなよ」
少しサスケと話しているときに、私が何の前触れもなくそう言うとサスケは「は?」と意味が分からないと言わんばかりの声を出した。
「うん、あのね。私、これからサスケの上司さんと話さなきゃいけないから」
「は?」
私が笑って言うと、前からカカシが歩いてきた。
「あれ、サスケ。休憩してんの?ナルトは向こうでまだ必死にやってるよ?」
カカシがそう言うと、サスケは舌打ちを一つし、立ち上がった。
そして、サスケは最後に私とカカシを交互に見て言った。
「・・・クロ、もしコイツに変なことされたら大声で叫べよ」
「サスケ、お前はオレのことなんだと思ってるの」
(修行って・・・“木登り”かな。いいな、なんか楽しそう)
「ごめんねー、邪魔して。でも、オレも立場上キミと話しとかなきゃいけないから」
サスケがいなくなると、さっきまでサスケがいたところに同じように腰を下ろした。
「んー、そうだな。まずはここに来た目的について・・・とか」
「それ、さっきもサスケに同じこと聞かれましたけど、大した理由なんて・・・」
「そう?――じゃあ、オレと約束してほしいんだけどさ」
「・・・はい?」
そこからカカシは真剣な顔になって話し始めた。
「再不斬との戦いは見たよね?」
さっきのやつのことを言っているのかな。
そう思って一応頷いて見せると、カカシは話を続けた。
「そう、オレたちは忍だ。これはアイツらにも言ったことなんだけど、任務はいつだって命懸けなんだ」
「・・・はい」
「だから、この波の国を出るまではオレたちと一緒にいてほしい」
私を見るカカシの目は、相変わらず何を考えているか分からない。
まあ、言うまでもないが断るつもりはない。
「大丈夫です。ていうか、断ってもどうせそうするんでしょ?」
少し笑いながらそう言うと、カカシも「まあね」と言って笑った。