第17章 波の国の悲しさ。
「おい、クロってば、こんなところにいたのか!カカシ先生が呼んでるってばよ」
「本当?ありがとう、教えてくれて」
呼びに来てくれたのはナルトだった。
ニシシ、と歯を出して笑うナルトに思わず私も笑みがこぼれる。
「?・・・何笑ってんだってばよ?」
「え?フフッ、ううん。ただ、ナルトくんが可愛いなって思っただけ」
そう言うとナルトは、少し不満げな顔をして、
「それなら“カッコイイ”の方がいいってばよ・・・」
と呟いた。
「そうだねえ。サクラちゃんに言われるといいねえ」
「おう!サクラちゃんは可愛いけど、サスケのことが好きだから―――」
それは知ってるし、見てて分かりやすいよ。
そう思っていると、後ろから声が聞こえた。
「ハイハイ、ナルトもイケメンだから頑張ってね」
「おう!オレってば―――・・・ん?え?カカシ先生!?」
「お前、呼んでくるだけにどんだけ時間かかるの。サスケにお前らを迎えに行かすのもよかったけど、サクラもいるし。オレが迎えに来たってわけ」
カカシは何を考えているか分からない笑みで私たちについてくるよう促した。
その感情の読めないような雰囲気は、少しイタチに似ているかもしれない。
(でもまあ、今のところ、イタチ兄さんほど厄介な人間はいないだろうけど・・・)
「おーい、クロ?置いていくぞ?」
「えっ、あっ、ちょっと待って」
少し、ボーっとしていたみたいだ。
少し前で待っていてくれているナルトに小走りで追い付くと、後ろからネネを乗せたスイレンも私の横に並んだ。
「―――と、いうわけで、すみませんが数日間お世話になります」
「そんな堅苦しい挨拶はいい!ワシらは超歓迎じゃ!」
ペコリと頭を下げると、目の前のおじいさんは豪快に笑った。
おじいさんのくせに、めっちゃ元気。
自己紹介を済ませると、ちょうど、私より小さい男の子が二階から下りてきた。
「・・・・・」
(――・・・“イナリ”だ)
一瞬で理解したが、男の子は私のことに気付いて小さく会釈をして出ていっただけだった。
その様子を見ていたイナリの母親であろう女性が、眉を八の字にして言った。
「ごめんなさい、あの子ちょっと人見知りで」
「いえ、全然。私は別に大丈夫なんで」