第2章 子供時代と一つの事件。
――――――同時刻。
うちはイタチはヒルゼンと話していて、急に妙な胸騒ぎを覚えた。
「・・・・しかし、お前の妹はよくお前に似ているな」
「・・・そ、そうですか?」
「うむ。何というか、雰囲気かの」
「・・・それはどういうことですか?」
「そうじゃのう。何というか―――――」
バン!と突然激しく扉が開けられた。
「・・・何じゃ。ノックぐらいしろと前に言ったはずじゃが」
見ると、少し前にハルと一緒に部屋を出て行った女性だった。
酷く焦っているようで、真っ青な顔で肩で息をしている。
「ッ火影様!!ハ、ハルちゃんが・・・あの男に・・・!!どうしよう・・・!」
「どうした?ゆっくり、落ち着いて話せ」
「ハ、ハルちゃんが・・・!!男に殺されそうで・・・!!火影様と、うちはの長を呼べって・・・!」
「・・・!!」
そのことを聞いて、イタチは自分がひどく動揺していることに気が付いた。
体中の血がサーッとひいていく気がして、頭が真っ白になった。
頭の中では、血まみれの妹の姿がいとも簡単にイメージ出来た。
(・・・そんな)
考えれば考えるほど、最悪なイメージが膨れ上がった。
「イタチ!!」
しゃがれた、威厳のある声がイタチを現実に引き戻した。
「何をボサッとしておる!!行くぞ!!」
さっきの女性は気を失っているのかグッタリとしており、いつの間にか来ていた暗部の数人に抱きかかえられていた。
「っはい!」
そうだ。自分の妹なのだから、そう簡単に死ぬはずがない。
(でも、どうか)
気を付けないと、手を離してしまうと、いつでも脆く簡単に消えてしまいそうな自分の妹。
気を抜くと、いつでも涙が出てしまいそうだった。
(無事でいてくれ・・・!!)
そう願わずには居られなかった。