第16章 三代目火影とクロ。
「――――――三代目様!何を言うつもりです!?」
「あっ、ああ・・・すまない、すまない」
おしぼりを投げたことを謝りつつ、強い口調で言う。
周りが唖然としているが、それよりも私は名前を呼ばれることだけは避けたかった。
「ご無礼をしたことには本当に申し訳ないと思っています!ですが、私の名前は何だとお思いですか?」
そう言うと三代目はやっとそのことに気がついたようで、「クロ・・・だったな」と言い直した。
ホッと息をつく私に、周りからの視線が突き刺さる。
「あ・・・」
そこでやっと私たちがいかに目立っていたことに気づいて、恥ずかしくなる。
椅子にしずしずと座る私の横に、三代目も座った。
「えっ」
「何じゃ、たまにはいいだろう?それに今日は運がいいかもしれんな。なんせ、お前に会えたんじゃからな」
目尻を下げて言う三代目に何も言えずただ頷く。
スイレンが私の心の内を悟ったように、私の手に顔を擦りつけた。
「あの・・・失礼ですが、お知り合いで・・・?」
「ああ、少しな」
「それで、今日はどんなご用で?」
カカシがそう聞くと三代目は思い出したように「そうじゃ、」と話し出した。
「実はの、お前たちに任務があってな」
「任務・・・それってば、また飼い猫探しとかじゃねーだろーな、じーちゃん。オレってば、もうあんなの嫌だってばよ」
「ハイハイ、ナルトは黙っとこうね。それで、任務とは?」
私がいるのに何のつもりなのか、三代目は第七班の任務について話し出す。
(私がここにいちゃ場違いでしょ・・・)
もともとここに来たのは父さんと母さんに報告するためだったんだし、と思って席を立つ。
すると、他四人が「え?」と言わんばかりの目で私を見た。
「・・・え?」
「おい、お前まさか逃げるんじゃねえだろうな」
「サスケ、顔怖いよ・・・。ちょっと寄るところがあるし、私がいちゃ場違いでしょ。じゃあ、あとで会えたらいいね」
三代目とカカシにお辞儀をしてスイレンと店を出る。
後ろから「あ、テメ、こら!逃げてんじゃねえってばよ!」
と言うナルトの声や、「チッ、クロ!お前あとで覚えとけよ!」と物騒なことを言うサスケの声が聞こえたが、それに手を振って父と母が眠る場所へと足を進めた。