第15章 “自己修復”というもの。
「・・・る・・・」
「おい、ハル」
誰かの声にうっすらと目を開く。
何度目かのその声には少しの動揺と困惑が混じっていた。
遠慮がちに頭を撫でられ、目線だけ上に向けると、そこには飛段がいた。
ボーッとした頭でその事実に気が付き体を起こすと、飛段はやっと起きたかというような目で私を見た。
「・・・おやつだってよ。角都がお前も呼んで来いって」
「・・・・・・」
「おいこら、行くぞ。早くしろよ?アイツ気ィ短いから、怒らせるとめんどくさいんだよ」
分かるか?と飛段が言いながら、私にベッドから降りるように促す。ついでにネコ姿のスイレンも。
フラフラとおぼつかない足取りで前を行く飛段の後ろをついて行く。
すると、居間には大きなテーブルを囲む真ん中にある椅子に角都が座っていた。
そして、角都は私の姿を一目見ると一言言った。
「寝起きか」
「まあな。コイツなかなか起きねえから大変だったんだぜ?」
私がどんな寝起きの顔をしていたのかは分からないが、とにかくひどい顔をしていたのだろう。今思えば恥ずかしい。
そんなこんなで三人とも椅子に座ると、どこからともなく角都が団子を出してきた。
それを飛段はいち早く手に取り、口に頬張ると、独り言のように「つーかさ、」と話し出した。
「角都の隣に座るなんてめっずらしーこともあるんだな。大体のガキはお前の隣に座ることなんてないのに」
すでに私は船をこぎ始めている状態で、眠くて眠くてかなわない状態だ。
「お・・・?お前まだ眠いのか?」
その言葉が聞こえたのが最後、私はついに机に突っ伏して意識を飛ばしてしまった。