第15章 “自己修復”というもの。
「で、もう事の収集はついたのか?」
「オレ、もう分からん」
「はい、もう大丈夫です」
飛段が匙を投げたように言うが、それとて私も一緒だ。
どうやって治したのか、なんて聞かれても答えられない。
だって、分からないもん。
「じゃあ、ちょっと・・・。私、部屋に戻らせてもらいます。疲れているのに、引き留めてしまってすみません」
自分の言葉遣いに、自分で引きながらも、何だか疲れてしまったのでイタチの部屋へと戻ることにした。
ペコリと一つ頭を下げ、イタチの部屋へと足を進める。
ワンテンポ遅れて、スイレンが後ろをついてきた。
「スイレン、まだ気にしてるの?」
部屋についてもスイレンは黙ったままだった。
「もう大丈夫だって。さっきも言ったけどさ」
スイレンの頭を軽く撫で、ベッドに潜り込む。
何だかさっきにも増して、疲れた気がする。
横になるとすぐにでも寝てしまいそうだ。
だが、眠気には勝てず寝転ぶ。
そして、気になっていたことを聞く。
「ねえ、スイレン。自己修復ってのには、少なからず代償があるんだよね?」
するとスイレンは一瞬の沈黙のあと、気持ちを切り替えるようにいつも通りの調子で話し出した。
『そうだね。僕は何ともないんだけど、キミは“あの時”から大きな傷がさっきのが初めてだったから、きっと、まだ身体が慣れてないんだよ。だから今のキミの状態のような状態になってるんだと思う』
『でも、段々慣れてきたら何ともなくなるんじゃないかな。多分、治り具合も調節出来るようになってくると思うけど』
「え、そんなことできるの?」
『うん。僕、前に試したことあるから』
スイレンはそう言うとベッドに潜り込んできた。
その行動に少し驚きつつも目を閉じる。
「珍しいね、スイレンから来るなんて」
『そうかな』
「うん。まあ、おやすみ」
そう言うと、今度こそ眠りについた。