第15章 “自己修復”というもの。
「スイレン・・・もう大丈夫だから」
体をゆっくりと起こす。
「・・・あー・・・」
何だか、体がダルい。
そうぼやいていると、不意に角都の声が上から降ってきた。
「・・・何かあったのか?」
「あ、ああ・・・コイツに俺のコレが刺さって・・・!つか、お前・・・」
飛段が驚いたような表情で私を見る。
正直、私も驚いている。
こんな短時間で治ると思ってもみなかったし、そもそも本当に傷が治るのかということも正直なところ半信半疑だったわけで。
「・・・・・・」
ただただ、私は自分の手のひらをを恐る恐るさすることしかできなかったのである。
『ごめん、ハル・・・!』
「別に、いいんだよスイレン。傷が本当に治るのが分かったことだし」
私がヘラッと笑って見せると、スイレンはやはり決まりが悪いのか俯いた。
そんなに落ち込まなくたっていいんだよ、とスイレンの頭を撫でていると、無言になったのを見かねてか、飛段がついに聞いてきた。
「・・・お前・・・オレと同じ・・・?」
そこまで言って飛段が私の方へ、ズイ、と顔を近づけてきた。
それは“不死身”で、ということであろうか。
角都は何が何だか分からないようで、一応話の流れを窺っているようだ。
「いやあ・・・。さあ・・・?」
私もこの“自己修復”の理屈は理解できないので、首をかしげる。
そこで角都がようやく話を察したようで、私に視線を向けてくる。
「・・・手、縫わなくていいのか」
「は?」
角都が言ったのはその一言。
思わず聞き返してしまう。
「縫い合わさなくていいか」
(縫う・・・!?)
つまり、言葉の通りの意味。
それをやっと理解し、引きつっていたかもしれない苦笑いで答えた。
「いえ・・・大丈夫です」