第14章 バレンタインの出会いと決心。
「どーすっかなー・・・」
「何がだってばよ?」
はっと我に返る。
(あ・・・そうだった。今はナルトと一緒にいるんだった)
忘れかけていた。
「ううん、何でもないよ」
あれから一ヶ月。
白いヘビはあの中のリーダー的な存在らしく“提案”、というよりは“お願い”に近かったが・・・。
“ワシらは、あの人間に実験体にされて、あの人間が嫌いじゃ。だが、お主らに助けられた。ネネから聞いたぞ。お主らがネネのお願いを聞いた、とな・・・”
・・・このときもスイレンはすごく嫌な顔をしていた。
どこか気に食わないところでもあったのだろうか。
“そこで、じゃ。ワシら、お主らに恩返しをしたいと思ってな。それを伝えようと思っていたが、中々お主らが来んからネネを寄越した”
“・・・それで?何が言いたいわけ”
“まあ、そう早まるな。で、恩返しとやらを考えてみたんだが、良い案が出なくてな。・・・ここからは提案ではなく、もうワシの我が儘なんじゃ。それでも、聞いてほしい”
そのときは意味が分からなかったけど、聞いてみて納得した。
このヘビが凄く正直者だって分かった。
“出来れば、ワシらとしばらくの間だけ共にいてほしい。人間の都合があるのも重々承知じゃ。ただ、人間に恐怖を植え付けられてしまった他の奴らにも、人間の良さを分かってほしいのじゃ”
“・・・それは、私で無くてはならないんですか?”
“勿論、お主でなければならないというわけではない。ただ、今・・・ワシにとって少しでも信頼できる人間はお主のみ。ネネからも話は聞いたのだ。皆、お主があの人間とは違うとは分かっておる”
“返事は今すぐにとは言わん。一ヶ月後、またネネをそちらに寄越すから―――・・・”
「―――クロってば!」
「えっ?」
「やっぱりお前ってば、オレの話聞いてないってばよ!」
不貞腐れた表情で私の顔を指差すナルトに、ごめんってば、と一言謝る。
「・・・まあいいけど。で、お前、何考えてたんだ?」
「んっ?別に、何も・・・」
「教えてくれたっていいじゃん!」