第14章 バレンタインの出会いと決心。
「あのさ」
「何だってばよ?」
「・・・もし、私が、」
いなくなったら、どうする?
「・・・えっ?」
どんな顔をしていいか分からず、少しだけ微笑む。
ナルトは少しだけ目を見開き、まるでそこだけ時間が止まったように、ピタ、と動かなくなった。
「・・・ナルトくん?」
ザア、と風がふいて、私たちの間を通り過ぎる。
私と、ナルトの髪が風で揺れる。
「お前、いなくなっちまうのか?」
ナルトは聞いた。
まるで、喉から振り絞った声で聞いた。
「んー・・・あ、大袈裟に言うと・・・私が死んだらどうする?」
「はあっ!?」
「あはは、冗談だよ」
今度は私が声をあげて笑って見せると、ナルトは明らかにホッとしたようだった。
しかし、その次に、ナルトは珍しく真面目な表情を浮かべて私の目を見つめていた。
(ちょっと唐突すぎたかな・・・)
「何、ナルトくん。寂しくなっちゃった?」
青く綺麗なその瞳に、私の“クロ”の姿が写る。
写っているクロの口角が、いたずらっ子のようにニイッとあがった。
「・・・死なない」
「・・・え?」
「お前は、死なない!!」
ナルトは、私の手をぎゅっと握って、半ば叫ぶようにそう言った。
「オレが強くなって、お前のこと守るんだ。そしたら、お前のこと死なせない」
今度は、私が驚く番だった。
「な!」
「え・・・あ、うん・・・。ありがとう、楽しみにしてるね」
よォし、と気合いを入れているナルトの横顔を見つめる。
スイレンは、何も言わなかった。