第14章 バレンタインの出会いと決心。
「ねえ、スイレン。さっきの人、どう思う?」
帰り道、スイレンの背中からスイレンに聞く。
結局あのあとは、何もなく別れた。
何事もなく心底ホッとしていた私に、トビは“また今度”と言った。
(“また”って、私たちまた会うのか・・・?)
意味深な言葉が好きなのか知らないけど、もやもやする。
ちなみにサスケから貰ったチョコは半分あげた。
『んー・・・僕は今のところ何も言えないかな。それより僕は、“うずまきナルト”のほうが気になるよ』
「あー・・・そっちね」
どうやら、スイレンはナルトの方に興味があるようで、私が持ち出したトビの話題はさらっと流された。
多分、チャクラ量のことが気になっているんだろう。
だって、ナルトは九尾なんだから。
「ナルトはね、特別なんだ。ねえスイレン。“人柱力”って知ってる?」
『あー、少しなら』
「そっか。ナルトはね、その“人柱力”なんだよ。それも、一番強いやつ」
スイレンは自分から聞いたくせに、特に何のリアクションを起こすわけでもなく、『ふうん』と言った。
「え、リアクションうっす・・・」
『そうかな?あ、あとさ、今ネネが―――』
「え?ネネが――――っぐふっ!?」
突然腹部に何かが直撃。
スイレンがいつもより話題をコロコロと返るので、聞き返そうとする途中で変な声が出た。
「いったぁー・・・」
やべえ、マジ痛ェ、と呟きながらお腹を押さえて、バッと上半身を起こした。
「っ」
次の瞬間、私の目に映ったのは木で、
(あ、やば―――)
と思ったときにはもう遅かった。
『ハル!?』
ゴッ、と凄い音がして、体が宙に浮く。
最後に見えたのは、ただの青空だった。