第14章 バレンタインの出会いと決心。
スイレンは財布をくわえて、どこかへ行った。
その後ろ姿を見送りつつ、ふと思う。
(あれ・・・もしかして)
今、二人きりじゃね・・・!?
チラ、と彼を見るけど、何を思っているのかさっぱりだ。
話しかける?
(いや、でもなあ・・・)
「ねえ、君、ここに住んでるの?」
悶々と考えていると、驚くことに向こうから話しかけてきた。
(う、わ・・・どうしよう・・・!)
「えっと・・・んー・・・」
何て返したらいいのか分からなくて言葉を濁す。
やっぱりスイレンを行かすんじゃなかった。
そう思ってももう遅い。
「あの・・・まだここにいるんですか?あ、いやその、迷惑とか・・・き、気を悪くしたらごめんなさい。その・・・用事とかあるんじゃないかって、思って」
質問には答えず、今度は私が質問する。
少しの間、沈黙が出来て気まずくなったので、サスケからもらったチョコをトビの前に置いた。
「あの、貰ったものなんですけど、良かったらどうぞ・・・」
どうせ持って帰っても、全部食べきれるなんて思ってないし。
トビはチョコを手に取るとまじまじと見つめた。
(もしかして、毒でも入ってるって思ってんのかな・・・?)
「バレンタインの余り物です。なんで、毒なんて入ってないですよ」
「え?ああ・・・」
そして、それを食べて気持ち悪くなったということを呟くと納得された。
そこまでで遠くからスイレンが戻ってくるのが見えたので、会話は自然と終了となった。