第2章 子供時代と一つの事件。
そのデカい建物の中に入った、が。
今更、思うのもどうかと思うけど。
「・・・・ねえ、イタチ兄さん」
「ん?」
「・・・この中って勝手に入っていいの?何か、すごい・・・見られてる気がするんだけど・・・」
視線を感じる。
うちは一族というのだけでなく、「なぜここに子供が」という大人たちの視線。
するとイタチは、そんな心配をしている私をよそに、サラリとした調子でこう言った。
「ああ、大丈夫だよ。今日は俺が火影様に呼ばれているのもあるからね。ちゃんとした用事だよ」
「・・・・・・・・・」
「少しの間だけ、待たせちゃうけど・・・いいか?」
「・・・うん。いい子にしとく」
(それ、最初に言ってよ・・・私の心配、無意味ー・・・)
一つの部屋の前まで来た。
イタチが、私を下ろし、手を差し出してくる。
私がその手を握ると、頭を撫でて、コンコンと扉を二回ノックした。
「―――――誰だ」
「イタチです」
「・・・入れ」
「失礼します」
中からはしゃがれた、威圧感のある声が聞こえた。