第13章 冬と金色の少年。
そして、十二月三十一日。
今年最後の日だ。
「こんにちは、ナルトくん!」
「えっ、何でお前がここにいるんだってばよ?昨日も会ったじゃねえか」
そして、今、私はナルトの家の前だ。
木ノ葉の里には頻繁に足を運んでおり、今日はサスケとナルトに今年最後の挨拶をしようと思ってやって来たのだ。
本当は、先にサスケの家に行ったけど留守だったのでこっちに来た。
「今日は一年が終わる日だから、挨拶に来たんだ」
「・・・お前ってば、よく分かんねえことするんだな」
「そう?私はナルトくんに、来年もよろしくって言いに来たんだけど?」
扉を開けたままのナルトは驚いた表情をして固まった。
じゃ、そういうことで。バイバーイ。
とその様子に思わず笑いながら手を振り、猫姿のスイレンを抱っこしたまま、上ったマンションの階段を下りる。
長い階段を下り終えたところで、ナルトのデカイ声が聞こえてきた。
「オレも!来年もよろしくなー!」
「うん!」
「サスケ!」
「は!?お前、何して・・・!」
サスケの家に行く途中、丁度サスケとばったり会った。
笑う私とは対照的に驚いた表情のサスケ。
その姿が可愛くて思わず抱き付く。
「!?」
(あ、やべ)
これヤバイわ。今、絶対嫌われた。いくら今日はテンションが高いとはいえ、ちょっとやりすぎた。
と、一秒の間に考える。
そして、誤魔化すようにへらっと笑う。
「あははは・・・」
「お前・・・」
だが、待ち構えていた怒声はいつまでも聞こえることがなかった。
代わりにサスケは私の目をじっと見つめていた。
「・・・サスケ?」
「あ、ああ・・・何だ」
「いや・・・てっきり私、怒られるのかと思ってたんだけど・・・」
そう言うとサスケは何も言わずに私から目をそらした。
その様子に首をかしげつつも、本題に入る。
「サスケ、今年は色々とありがとう。来年もよろしくね」
「・・・は?」
「え?うん、変なこと言ってないよね?」
じゃあそんだけ、と手を振る。
(結局サスケのところに押し掛けただけだけど、元気そうで良かったや)
さっきから一言も喋らないスイレンを抱き直してサスケの横を通り過ぎる。
サスケは何も言わなかった。