第13章 冬と金色の少年。
「ただいま戻りました・・・」
最後は消え入りそうな声で言ってみる。
居間には小南と角都とイタチが四つあるソファを陣取っていた。
「あら、おかえりなさい、ハル。外は寒かったんじゃない?」
「うん、寒かった」
そんな会話をしていると、イタチが私の近くまで来て、手を洗うように促す。
手を洗い終えると、イタチは私を自分の横へと座らせた。
「おかえり、ハル。今日はどこへ行ってきたんだ?」
「んー・・・秘密!」
「ハハッ、そうか。まあいい。―――ん?そのマフラー・・・どうしたんだ?」
どこへ、なんて口が裂けても言えるはずがなく、不自然の無いように答えるが、やっぱりスルーしてくれるはずもなくマフラーに突っ込まれた。
「これ、可愛いでしょ」
と、スイレンのを指差す。
「で、これは、貰ったの!」
と、次にサスケから貰ったマフラーを指差す。
「そうか。誰に貰ったんだ?」
「秘密!」
敢えて元気よく答えると、イタチは目を細めて笑った。
自然に言えただろうか。
ふとチラリとイタチから目線を外す。
珍しく、角都がそこにいた。
ばっちり目が合う。
ソファから下りて、角都の方へ行く。
「・・・何だ?」
角都は私を見下ろすような形で、私ではなくイタチに聞いた。
「さあな。でも、ハルから近付いていくなんて珍しいぞ。喜んでいいと思うけどな」
「知らん」
「フフッ、羨ましいわね」
笑う紅一点に困り顔の角都。
「・・・横、座ってもいいですか?」
「・・・構わないが」
ぎこちなく頷いた角都に、思わず私もつられてぎこちなくなる。
「あの、ハルです」
「知っている」
「あんまり話したことないから、覚えてないかと思って」
正座をして少し笑う。
「・・・そうか」
角都はそう言うと私に手を差し出してきた。
「握手だ」
「えっ、あ、はい!」
ドキドキしながらそっと手を握る。
その手はイタチよりも少し大きくて、思ったよりゴツゴツしていた。
やがて、手を離すと何だか急に恥ずかしくなってきて、
「ん?ハハッ、ハルは変なところで照れるんだな」
イタチの隣にいそいそと戻った。
(明後日くらいに、ナルトとサスケのところに行ってみようかな)