第13章 冬と金色の少年。
扉をノックすると、意外とすぐに扉が開いた。
「やっほ、サスケ!」
「よっ」という風に手を上げると、サスケは「はあ!?」と声をあげた。
おお、驚いてる、驚いてる。
(“サスケ兄さん”と前に口走ってしまったことは、完全に無かったことにしよう。もし、向こうからその話を振ってきても、知らないことにしよう)
「お前、何してんだ!」
「元気だった?今日寒いよねー」
へら、と笑うとサスケは呆れたような顔をした。
「あ、大丈夫、今日はもう帰るから。サスケの顔見れただけで嬉しいよ」
「お前、こんな寒い中帰るのか?」
「うん、まあね。大丈夫、心配しなくてもまた今度会いに来るよ、近い内に」
心配なんてしてねえよ、とサスケは言ったが、チラ、とスイレンの方を見て、その次に何か考え、「ちょっと待ってろ」と言うと、部屋の中へ入っていった。
「・・・?」
数秒後、再び扉が開き、サスケが手に持っていたのは、
「・・・マフラー?」
「俺のだけど、無いよりはマシだろ」
何か文句あるか?とサスケ。
それにフルフルと首を振るとサスケは乱暴に私の首にはそれを巻いた。
「・・・あ、ありがとう」
「別に。っていうか何でソイツがしてんのにお前はしてないんだよ」
普通逆だろ、とサスケが指差したのはスイレンだった。
「え?いや・・・」
「まあいい。じゃあな。こけんなよ」
バタン、と間髪入れずに扉が閉まった。
「・・・じゃあ、スイレン帰ろっか」
『うん』
スイレンの背中で一人、思い出し笑いをする。
(なあんだ)
『ハル、どうしたの?』
「ううん、何でもないよ」
(サスケ兄さんは、不器用だなあ)
やっぱり、私の兄たちは優しい。