第13章 冬と金色の少年。
『・・・結局、僕との約束はどうなるの?っていうかどこ行ってるの?』
ナルトの後ろ姿を見送った後、スイレンが不満そうに愚痴を溢した。
「ん?サスケ兄さんのところ。ちょっと顔出しに行くだけだから。あと、スイレンとの約束はまた今度ね」
『その“今度”って言葉、都合良いよね』
歩き出した私の横にスイレンが並んで歩く。
皮肉ったように言うスイレンに、私は足を止める。
そして、方向転換をし、サスケの家ではなく別の方向へと足を進めた。
『あの、ごめん・・・。怒った?』
黙ったままの私の後ろを尻尾を下げて追いかけてくるスイレン。
そして、ある店の前で足を止めると、スイレンに「待っててね」と言いある店の中に足を踏み入れた。
実は、今日はイタチにお金を貰ったのだった。
「これにしよ・・・」
スイレンに似合うのを買って外に出る。
お金を店員さんに渡すときに「おつかい?」と優しく微笑まれたので少し微妙な気持ちになった。
「スイレン」
もう真っ暗になった外で、スイレンは変わらず耳を下げ尻尾を体に巻き付けていた。
『・・・・』
「何、落ち込んでるの?あ、ちょっとじっとしててね」
私が買ったものを袋から出している間にもスイレンは黙ったままだった。
「よし、出来た。可愛いし、温かいでしょ?」
『え?』
ニコ、と微笑むとスイレンは『何したの?』と聞いてきた。
スイレンの首には、赤いマフラー。
「ほら、寒いでしょ?それに、スイレンの白に赤は似合うと思って」
『・・・怒ってなかったの?』
「え?私がいつ怒ったって言った?」
アハハッと声をあげると、スイレンも声だけ笑った。
今のスイレンはオオカミなので、顔は変わらない。
『・・・キミ、僕が落ち込んでるの見て楽しんでたでしょ』
「えー?あはっ、どうだかね。さて、サスケ兄さんのとこ行くよ!」
『もう、仕方ないな!ほら乗って!』
「よろしく!」
先程までの落ち込みっぷりはどこへやら、スイレンは私を乗せると、一気にジャンプした。