第13章 冬と金色の少年。
そこには、一人の少年がいた。
サラサラと風に靡くその短い金色は、私の目に、眩しく映った。
「・・・お前、何してんの?」
少年は私の近くまで来て、私と目を合わせた。
「おーい、聞こえてる?」
ぶんぶんと目の前で手を振られるが、私は少年の目をじっと見つめたままだった。
ふと、強い風が吹く。
「へっくしゅん!」
「ひっくしゅ!」
そこで私も我に返り、ずずっと鼻を啜る。
「あの、」と私が声を掛けようとしたところで大きな男の声が聞こえてきた。
「こォら、またお前かーーー!!」
「やっべ、誰か来た!」
オロオロしている少年の手を取る。
「えっ?」
「スイレン、お願い。ほら、この子に乗って。しっかり掴まっててね」
『・・・もー・・・乗せるのはキミだけっていつも言ってるじゃん』
ブツブツと言っているスイレンの頭を撫でながら、少年をスイレンの背中に乗せる。
「えっ、えっ?」
「それじゃあ、レッツゴー!」
最後に私も少年の後ろに乗ると、スイレンが勢いよく走り出した。
「ここら辺でいいかな。ほら、君も下りて」
適当に離れたところでスイレンが足を止めた。
先に私が下り、少年に手を出す。
すると、少年はおずおずと手を取りスイレンから下りた。
「・・・何でお前ってば、オレのこと・・・」
「ん?あ、自己紹介しなきゃね。私、“クロ”っていうの。この子の名前はスイレン。どうぞ、よろしく」
「え、うん・・・」
ニコ、と微笑むと少年はぎこちなく頷いた。
「あ、オレってば、うずまきナルトだってばよ!」
「うん、知ってる。ナルトくんって呼べばいいかな?私のことも、好きに呼んでくれて構わないよ」
握手を求め、手を差し出すと、ナルトはワンテンポ遅れて手を握った。
「オレってば、誰かと握手なんて初めてだってばよ」
「そうなの?なら、私がナルトくんの一番だね」
握ったナルトの手は、温かかった。