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うちはに転生しました。

第12章 準備と突入と、想い。



スイレンが迷いなく夜の森を駆けていく。

まるで、ネネがどこにいるのか分かっているようだ。


『あ、見っけ』

「ホントだ。さすがだね、スイレン」


私が頭を撫でると、スイレンは嬉しそうに『うん!』と言った。


「ネーネ!」


私が名前を呼ぶと、そのフクロウは首だけ動かしてこちらを見た。


『ハル!主様!』


そう言うネネの周りには色んな動物がいた。

みんなこちらを見ている。


「ネネ、良かったよ、無事で」

『うん、お互いな』


私が腕をあげると、ネネが私の腕に飛んできて、互い笑い合った。

まあそれも私の言葉で固まったが。


「――さて、私は帰るよ。スイレンはネネについてあげてね」

『―――はっ?』

『え!?』


私がそう言うと、ネネとスイレンはすっとんきょうな声をあげた。

それもそうだ。


(だって今言ったんだもん)


『何で!?』

「まあまあ、落ち着きなよ」


食って掛かるような勢いなスイレンとネネに宥めるように頭を撫でる。


「まず、さ。人間の私は、ネネは大丈夫だろうけど、後ろの子達はそうじゃないでしょ?」


ネネはその言葉に弾かれたように後ろを見る。

きっと、その子達にとって人間はトラウマのようなものだ。

動物にだって、感情はある。

それはネネも思ったようで、『でも・・・』と言い淀んだ。


「ね?」

『ちょっ、ちょっと待ってよ!それは分かったけど、僕が残る理由は何?』


今度はスイレンだ。

スイレンは簡単に納得出来ないだろう。


「スイレンがいなかったら、誰が後ろの子達を守るの?」

『何で僕が・・・!』

「スイレン、そんなこと言っちゃ駄目でしょ?」


予想通り、スイレンは不満そうに声をあげた。

だけど、ここで折れるわけにもいかない。


「お願い、スイレン。ねえ、駄目・・・?」

『う・・・。・・・何で僕なの?』

「だって、スイレン強いし。スイレンがいてくれたら私も安心できるかなって」


スイレンの気持ちが揺れている。

あと一押し。


「じゃあ、こうしよう。今晩ここにいてもらう代わりに、今度お出掛けしよう」


しゃがんでスイレンと目線を合わせると、スイレンは小さい声で返事をした。


「ありがとう!」


良かった、ネネたちの安全は保証出来た。







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