第12章 準備と突入と、想い。
イタチたちは、暗い森の中からある一点だけをじっと見つめていた。
完全に気配を消して。
「・・・イタチよぉ、お前もついていくならお前の妹にでも言えばいいじゃねえか」
「・・・静かにしろ、気付かれたらどうする」
隣にいるのは、サソリ。
「お、入っていったぞ」
「・・・・」
「あ、また出てきた」
静かな怒りがハルから滲み出ている。
その小さな体から殺気が出ている。
ここからでも分かる。
「・・・アイツ、何か変じゃね?」
サソリがそう呟いた瞬間、後から白いオオカミが出てきた。
こちらを見ている。
「・・・気付いたのか」
だが、それも一瞬ですぐにハルの元に走って行った。
当のハルは男に跨り、顔を近付けている。
「フハッ、お前の妹、あの男に欲情したんじゃね?――っと、そんな睨むなって。冗談だっつーの」
しばらくすると、デイダラに何か言うとどこかへ行ってしまった。
「あー・・・どっか行ったな」
イタチはそんなサソリを一瞥すると、「では」と言いどこかへ行った。
「は!?ったく、アイツ俺を置いて行きやがって・・・」
視線を元に戻すと、もう既にデイダラが退屈そうに頭を掻いていた。
「ああ?アイツ、今日は爆弾使わねえのか・・・?」
遠くで見ているのも何なので木から降りてデイダラに近づく。
突然のサソリの登場に驚いたような表情をしたデイダラだったが、すぐにパアッと表情を変えると「旦那!」と叫んだ。
「旦那!何でここに?」
「別に何だっていいだろ。あー・・・偶然だ。そうだな」
「そうか!偶然か、うん」
「ていうかお前、今日は爆弾使わねえんだな」
「うん。使う前に倒れちまったんだ、うん」
横目で地面に倒れている男たちを見る。
「・・・じゃあ、俺たちは帰るか」
「え!?」
「何だ、お前まだここにいるつもりか?俺は帰るぞ?あの魚人にグチグチ言われるのが面倒だからな」
「・・・ギョジン?」
サソリが踵を返して歩き出す。
その後を、デイダラがあせあせとついて行った。
「ああ!ギョジンって鬼鮫のことか、うん!」