第12章 準備と突入と、想い。
「・・・どこか、怪我したところは?」
「ないよ。大丈夫だ、仕事だって言ったろ」
「・・・なら、いいんだけど」
見たところ外傷は無くて、さすがだと思った。
それからというもの、特に拍子抜けするほど何もなくご飯を食べて帰った。
アジトの中に入ると、すぐにスイレンが駆けてきた。
『ハル、おかえ・・・ん?血のにおいがする。どこか怪我した?』
「ううん、違うよ。それにほら、私は怪我しても大丈夫じゃん」
『うん、まあそうだけど・・・』
猫姿のスイレンは私をおんぶしているイタチの足元をぐるぐると回っていた。
そして、スンスンとにおいを嗅いだあと納得したように座った。
『ふん・・・確かに、ハルの血じゃないな』
「・・・そんなことまで分かるの?」
すると、辺りに大きい声が響いた。
「おいこらお前らああ!!」
「?」
「この俺を置いて行きやがって・・・!」
そう言って悔しそうな顔をしているのは、飛段。
それと対照的に涼しそうな顔をしている小南がいい放った。
「あなた、起きなかったんでしょ」
「ぐっ・・・」
何も言い返す言葉が見つからず、言葉に詰まる。
「で、でも!俺腹減ったんだぞ!」
「知らん」
「・・・おい、静かにしろ。ハルが寝ている」
イタチの背中ではもう夢の世界へと旅立ったハルがいた。
「えぇ・・・!?」
「俺はハルをベッドに連れていく。・・・あと、お前のご飯ならハルが買っててくれたらしいぞ」
「・・・!」
ほれ、とイタチが飛段に向けて何かを投げる。
ナイスキャッチした飛段は目を輝かせた。
「やった・・・今日はおにぎりが食べたい気分だったんだよなあ~・・・!」
飛段の手にあるのはパックに包まれたおにぎり。
飛段は今すぐにでも買ってきたハルに近寄ってみたかったが、イタチの目が怖かったので止めた。