第12章 準備と突入と、想い。
「おい、一体どうなってんだ・・・!?」
「これ・・・」
すると、男の一人が不意に上を見上げ、覗いていた私たちと目が合う。
「あっ・・・!」
「何見てんだ――――」
このままじゃヤバイ、そう思って急いで車輪眼を発動させる。
男たちは悲鳴をあげて、倒れた。
横にいる小南からは私がしたことは気付かなかったようで、その様子をじっと見つめていた。
「ハル」
「うん?」
「・・・取り敢えず、集合場所に行きましょう」
「・・・集合場所?」
「最後に別れた場所よ。ほら、立てる?」
屋根から降り、少し歩くと集合場所についた。
「・・・あら、私たちが最後みたいね」
視線を前に向けると、全員揃っていた。
というのも、変えたはずの姿はもとに戻っていたので私でも分かった。
「遅れてごめんなさい」
「今日は珍しく遅かったですね、小南さん」
「ええ、ちょっとね・・・」
鬼鮫が小南に声をかけるが、小南はすぐにイタチの前に行った。
「イタチ、ごめんなさいね。ちょっと色々あって・・・事情は帰ってから話すけど、ハルが・・・」
そこまで言って言葉を切る彼女に、察したのかイタチが無言で頷いた。
「ごめんね、ハル」
「・・・何で謝るの?」
「・・・それは」
小南はしゃがんで私と目線を合わせた。
「ねえ、小南ちゃん」
「・・・?」
「ありがとう。小南ちゃん、カッコ良かったよ」
そう言って小南の首に手を回す。
「ハル、」
「助けてくれて、ありがとう。大丈夫だって。怖くなかったから」
「・・・そう、」
腕をほどくと、小南は少し笑ってくれた。
「イタチ兄さん」
「ん?」
「おかえり」
「・・・ああ」
イタチの元に駆け寄ると、イタチはしゃがんで私の頭を撫でた。
私自らイタチに抱き付くと、イタチの服から何か臭いがした。
「・・・ん・・・?」
(鉄のにおい・・・)
「どうかしたか?」
ああ、なるほど。
そういうことか。
「・・・イタチ兄さん、お疲れ様」
「・・・ああ」
仕事って、もしかして“賞金稼ぎ”だったりするのかな。