第2章 子供時代と一つの事件。
――――恐ろしい。
自分の妹にはそんな風になってほしくない。
そんなことを思いながら、イタチはいつの間にか泣き疲れて寝てしまっている妹の頭を撫でながら、団子屋への道を歩いて行った。
「・・・ハル、着いたぞー?」
体をユサユサと揺さぶられ、目が覚めた。
「お、やっと起きたか」
(寝てたんだ・・・っていうか、ここどこ・・・?)
「あ、ここがおいしい団子があるところだ。お、丁度来たな。ほら、食べてみ?」
団子なんて、ほとんど食べたことがない。
もう、どんな味だったかもよく覚えていない。
(・・・確か、甘いって聞いたことがある)
串を手に持ち、パクリと一口。
「・・・どうだ、うまいだろ?」
「・・・うん。おいしい。・・・こんなおいしいの、食べたの、初めて」
「そうか。なら、連れてきて、正解だったな」
イタチはそう言って、いつものようにふわりと、柔らかいあの笑みで微笑んだ。