第12章 準備と突入と、想い。
「よし、行くぞ」
誰かが言うと、それを合図に全員が動き出した。
もう誰が誰だか分からない。
そして私は、イタチらしい男におんぶされることになった。
・・・何だか落ち着かない。
「・・・・・さむっ・・・」
身体を縮こませると顔を横に向け、流れていく景色を眺めながら明日の作戦について考える。
(明日は・・・夜決行にするかな)
(そう、それがいいかも。あ、後でイタチ兄さんに明日出掛けること言っとかないと。助っ人は誰に頼むかなあ・・・。サソリあたりだよね・・・でも、誰が協力してくれそうかな)
そうして数十分後。
私たちは、夜の町に来ていた。
(・・・明らかに“そういう”ところじゃん)
それが顔に出ていたのか、隣から声が聞こえた。
「ごめんなさいね、ハル。あなたは私と一緒にいましょう」
見ると、微笑を浮かべている小南がいた。
そして、私をイタチの背から降りるように促すと手を握った。
「・・・小南」
「早く用事を済ませて来なさい。こんなところに子供を連れてくるものではないわ。あなたも、分かっているでしょう」
「・・・ああ」
イタチは私を見る。
「・・・イタチ兄さん、どこか行くの?」
「・・・ちょっと、仕事をしてくる。ハル、お前は小南と一緒にいろ。もし、何かあったら大声で叫ぶんだぞ」
「うん、大丈夫だよ。・・・・・イタチ兄さん、頑張ってね」
「!・・・ああ」
そう言うと、私と小南以外の皆は人混みの中に紛れ込んでいった。
残された私たちは、その後ろ姿が見えなくなるまでじっと見つめていた。