第11章 ネネの正体。
「ハル、起きたか。調子はどうだ?」
「・・・イタチ兄さん!」
入ってきたのはイタチだった。
まあ、ここはイタチの部屋なんだから、当たり前か。
「うん、大丈夫。・・・あの、その・・・」
「いきなり出て行ったのはビックリしたけど、別に謝らなくていい」
その言葉に、私は俯いていた顔を上げた。
「・・・お前の、帰る場所は、少なくとも“今は”ここだろ?」
「・・・えっ・・・?」
「俺が、お前の帰る場所だ。だから、もう、一人で泣くな」
心が、コトリ、と音を立てた。
「あ・・・」
何で知ってるの、とか。
スイレンこの前のヤツ言いやがったな、とか。
一杯言いたいことあったけど。
「ん、お前はまだ子供なんだ。もうちょっと甘えても良いんじゃないか?」
ああ、これだから嫌なんだ。
イタチの言葉で、私はもっと涙腺が緩くなる。
私、どうしよう。
(私、子供じゃないのに)
ダメなのに。
これから起こることを、私は知っているのに。
どうしてもこの生活を手放したくない。
「・・・イタチ兄さんの、ばか」
「そうか?俺はお前のことが可愛くて仕方無いんだけどな」
顔を背ける私を、イタチは優しい顔をして笑っていた。
(―――・・・ここに、サスケもいたらいいのに)
「ほら」
そう言ってイタチは自分からベッドに腰掛け、私の頭を撫でた。
(やっぱり、“クロ”としてサスケに会いに行こう)
私だけ、こんなのズルいよね。