第11章 ネネの正体。
帰り道。
『・・・何で僕がコイツまで乗せなきゃいけないわけ』
「スイレン、そんなこと言っちゃ駄目じゃん。ネネのところにも早く戻らなきゃいけないし、この人は私を助けてくれたんだから」
「おい、こら。何言ってんのか分かんねえけど、絶対馬鹿にしてんのは何か分かる」
スイレンには、私の申し出でサソリも乗っけて貰うことにした。
サソリは最初、とてつもなく嫌な顔をしていたけど、しつこく言うと渋々といった様子でスイレンに跨がった。
まあ、そのスイレンもかなり嫌がっているのだが。
そして、ふと気になったことを言う。
「っていうか・・・何であんなところにいたの?」
「・・・あ?俺に聞いてんのか?」
「そう、アンタ。てか、アンタしかいないだろ」
「ああん!?」
そう、サソリが何故あんなところにいたか、だ。
今は頭が回らないせいか、何も考えられない。
「あー・・・。あれだ、任務だ。帰り道に丁度お前らがいたってわけだ」
「ふうん。そっか、ごめんね。疲れてたんでしょ?」
私がその言葉を口にした瞬間、サソリがギョッとしたような顔をした。
「・・・何よ」
「・・・お前、絶対謝らないんだと思ってたわ、俺」
『何この男ウザイ!』
後ろでとてつもなく失礼なことを言っているサソリだが私から出た言葉は自分でも拍子抜けするような言葉だった。
「・・・あ、そう」
会話が途切れる。
だが、今の私にとっては好都合だった。
「・・・おい」
スイレンの背中は好きだ。
イタチ兄さんと同じ。安心する。
『・・・ハル?』
段々、瞼が落ちてくる。
(疲れた、のかな・・・)
のそのそとスイレンの頭の方に上半身を預ける。
完全に目を閉じると、スイレンとサソリの声がした。