第11章 ネネの正体。
『・・・ハル、もう大丈夫だよ』
「ん・・・」
反射的にギュッと閉じていた目を開ける。
煙はもう消えており、大蛇丸の姿はもうどこにも無かった。
あるのは大蛇丸の片腕で、近くの木の下に落ちていて見付けてしまい、目を反らした。
『ハル、大丈夫?』
「・・・あ、うん。大丈夫だよ、ありがとう。スイレンは大丈夫?」
『僕は平気だよ』
お互いの無事を確かめる。
(・・・終わった・・・?)
正直、怖かったし、殺されるかと思った。
安堵や不安が入り交じって、急に脚の力が抜けてしまい地面にすわりこんだ。
『おっと・・・ハル、大丈夫?まあ、そうだよね。実戦は初めてだもんね』
そう、初めてだった。
張り詰めていた糸が切れたように、溜め息を吐くと上からサソリの声がした。
「・・・おい、こら」
サソリは先程とは違う、いつもの表情になっていた。
そして、私と目が合うとヒラリと地面に降りてきて、何を思ったのか、私の真横に降りてきた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
『ちょっ、近い!』
無言で見つめ合うこと五秒。
いつの間にかオオカミの姿になっていたスイレンが、叫んだ。
『だから、近いってば!!』
うりうり、とスイレンが私とサソリの間に割って入ってくる。
そして、サソリが言った。
「・・・帰るぞ」
「・・・・・・・・・・えっ?」
ポツリ、と呟いたサソリは苦虫を噛んだような表情をしていた。
「・・・だから、帰るっつってんだろ。早く立て」
「・・・え、あ、うん・・・」
訳の分からないような顔をしていたのだろう。
サソリはクイ、と顎を上げて見せた。
「よい、しょ・・・」
ゆらゆらとおぼつかない足を動かして、スイレンに「お願い」と言うと、スイレンは『もちろん』と言った。