第10章 逃げ込んだ先に。
そうして、鬼鮫が取っておいてくれた少し遅い朝ご飯を食べ終わると。
「ハル、心配したのよ。私も、気が気じゃ無かったわ」
「ごめんなさい」
「いいの。でも、あなた今まで何処にいたの?」
「えっと・・・」
それを聞かれると困る。
私がアタフタしていると、小南は目を閉じて笑った。
「困らせてごめんなさいね。言いたくなかったら別にいいの。あなたがどこに行っていようと、ここに帰ってきてくれたのだから、それだけで私は嬉しいわ」
「・・・・・・」
そう言って小南がニコリと微笑む。
そんな小南に、私は何も言うことが出来なかった。
(ここは、イタチ兄さんの・・・)
『ハル・・・?大丈夫?』
「あ、うん。ごめん」
『ハル、きっと疲れてるんだよ。キミのお兄さんの胸借りて寝なよ』
「・・・ハル?眠いのか?」
「えっ・・・?そんな、ことは・・・」
話しているうちにどんどん不思議と目蓋が下がっていく。
(スイレンのヤロー・・・何かしたな。もう、食べたばっかで寝たら太るのに・・・)
「・・・ハル?」
最後に聞こえたのは、イタチの心配そうに私を呼ぶ声だった。